竹田こどもクリニック竹田こどもクリニック 2008年07月27日更新
2008年4月20日:「新版 小児科のお医者さんからママたちへ」の3刷について書き加えました。
2008年の春に、ヒブワクチン(ヘモフィルス-インフルエンザb型菌(Hib)ワクチン)が接種できるようになります
▲ヒブ(Hib)とは?▲
  ヘモフィルス属インフルエンザb型菌のことを略してヒブ(Hib)と呼びます。

  ヒブは、子どもさんの鼻やのどにいることがありますが、そのままでは病気になりません。ヒブが血液や肺の中に侵入すると、髄膜炎や敗血症・急性喉頭蓋炎などの深刻な病気をひき起こします。通常5歳以下の乳幼児がかかります。

  ヒブワクチンの使用が認められていなかった日本では、年間600人ものこどもさんがヒブによる髄膜炎にかかっていると推定されています。その約半数は生後6ヶ月から1歳までのお子さんで、かかると5%のお子さんが亡くなり、20%前後のお子さんに後遺症が残ります。

  諸外国では、10年以上も前からヒブに対するワクチンを定期接種として接種し、ヒブによる深刻な病気は100分の1程度に激減しました。WHO(世界保健機関)でも乳児への定期接種を推奨する声明を出しています。

どうしてインフルエンザという名前がついているの?
  この菌が発見されたときには、冬にはやるインフルエンザの原因と誤って考えられたのでインフルエンザ菌という名前がついてしまいました。後になってインフルエンザの原因はこの菌ではなくウイルスだということがわかりましたが、現在まで名称は訂正にならず、ややこしさの原因になっています。ちなみに、ウイルスのインフルエンザのB型は、"B"と大文字で記載しますが、インフルエンザ菌のb型は "b"と小文字で記載します。したがってヒブも"HIB"ではなく、"Hib"と書きます。ただし、予防注射の商品名は"ActHIB"です。

ヒブワクチンの別称は?
  インフルエンザ菌b型ワクチンとかインフルエンザb型菌ワクチンとも呼ばれます。ある新聞報道でヒブワクチンのことを "髄膜炎ワクチン"と記載してあるのを見ましたが、髄膜炎菌という菌が別にあり諸外国には "髄膜炎菌ワクチン"というワクチンもありますので、"髄膜炎ワクチン"という名称はまぎらわしいので使用しない方がよいと思います。

インフルエンザ菌にはカプセルのある菌とカプセルのない菌があります
  インフルエンザ菌には、カプセルがあるものとないものがあります。カプセルがある菌はa型からf型までの6種類に分類され、重症感染症をおこすものはほとんどがb型です。インフルエンザ菌は中耳炎を起こすことも多いのですが、中耳炎を起こすのはほとんどがカプセルのないインフルエンザ菌です。


▲ヒブ(Hib)ワクチンを受けるべき人と時期は?▲
 日本でも、やっとヒブワクチンが認められ(商品名:アクトヒブ)、2008年夏ごろより接種ができるようになる見込みです。

ヒブワクチンを受けるべき子どもは?
  ヒブワクチンは、5歳以下の乳幼児全員に受けていただきたいです。

  3種混合と同じ日に計4回接種をおすすめします。なるべく生後6ヶ月までに3回の接種を終わらせましょう。そのためには、生後3ヶ月になったらすぐにヒブと3種混合の同時接種、1週間後にBCG接種、その後も3種混合接種の際にヒブワクチンを同時接種がお勧めです。[アメリカでは、追加接種は生後12〜15ヶ月の時です。]

  生後7ヶ月〜1歳未満で未接種の児は、初回接種としては2ヶ月間隔で2回、追加接種は生後12〜15ヶ月時に(ただし初回2回目から2ヶ月以上あけて)1回接種します。

  1歳〜1歳3ヶ月未満で未接種の児は、初回接種として1回、2ヶ月あけて追加接種1回。

  1歳3ヶ月〜5歳未満で未接種の児は、1回の接種が必要です(初回接種は不要)。

  5歳以上の子どもや大人には、ヒブワクチンは不要です。ただし、脾臓のない人、免疫不全状態の人、鎌状赤血球症の人は、1回の接種をお勧めします。

上記の生後7ヶ月から1歳3ヶ月までの接種方法はアメリカのものです。いずれ、日本の方法が発表になると思います]


料金は?
  無料接種とはならないようです(無料化に向けた検討委員会は作られているとのことです)。新聞報道などでは「4回で3万円程度」とされています。当院ではできる限り接種料を押さえたいと思っております。 が、BSEの話(「接種に際して知っておいていただきたいこと」参照)を皆さんにお話しするにはかなり時間がかかると思いますし、薬問屋からの納入価格の提示も未だありませんので、接種料がいくらになるのかはまだ皆目検討もつきません。

▲ヒブ(Hib)ワクチンは2008年秋から▲
  ヒブ(Hib)ワクチンの発売が延びに延びて、今度は2008年秋頃に発売とのことです。

  発売は9月から11月・・・9月は無理かもしれないとのことです。
 今度は、インフルエンザ(ウイルス)ワクチンとヒブ(インフルエンザb型菌)ワクチンのどちらを優先さすかという問題が出てきそうです。
 生後2ヶ月から6ヶ月未満の児は、3種混合とヒブワクチンの同時接種がお勧めです。
 生後6ヶ月以降で、3種混合の3回目まで接種が済んでいて、ヒブワクチンもインフルエンザワクチンもお受けになりたい方は、ヒブワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種がよいでしょう。


  接種回数は、3種混合と同じ4回です。3種混合と同じ日に接種(同時接種:右腕と左腕に1本ずつ接種します)がお勧めです。

  当院では従来、BCG接種後4週間たってから3種混合を接種することが多かったのですが、ヒブ(Hib)ワクチンは生後6ヶ月になるまでに終わらせたい、とくに最初の2回をなるべく早期に接種したい、BCGは生後6ヶ月になるまでに終わらせないと有料となってしまうことから、乳児期のお勧め接種を下記のように考えます。
生後3ヶ月になったら 3種混合とヒブワクチン同時(1回目)
その1週間後に BCG
その4週間後に 3種混合とヒブワクチン同時(2回目)
その3〜4週間後に 3種混合とヒブワクチン同時(3回目)
その1年後に 3種混合とヒブワクチン同時(4回目)
もしくは、
生後3ヶ月になったら 3種混合とヒブワクチン同時(1回目)
その3〜4週間後に 3種混合とヒブワクチン同時(2回目)
その1週間後に BCG
その4週間後に 3種混合とヒブワクチン同時(3回目)
その1年後に 3種混合とヒブワクチン同時(4回目)
とするのがよいでしょう。


 では、ポリオのシーズンはどうすればよいでしょうか 
生後3ヶ月になったら 3種混合とヒブワクチン同時(1回目)
その1週間後に BCG
その4週間後に 3種混合とヒブワクチン同時(2回目)
その1週間後に ポリオ
その4週間後に       3種混合とヒブワクチン同時(3回目)
その1年後に 3種混合とヒブワクチン同時(4回目)
 あるいは
生後3ヶ月になったら 3種混合とヒブワクチン同時(1回目)
その1週間後に BCG
その4週間後に 3種混合とヒブワクチン同時(2回目)
その3〜4週間後に 3種混合とヒブワクチン同時(3回目)
その1週間後に ポリオ
3混ヒブ3回目の1年後に 3種混合とヒブワクチン同時(4回目)
が、おすすめです。1番最初にポリオを受けたり、「1回目の3種混合とヒブワクチン同時接種」の1週間後にポリオを受けたりしないようにしましょう。ヒブワクチンやBCGが生後6ヶ月以内に終了しなくなってしまいます。


  1回目のヒブワクチンは生後2ヶ月での接種が可能ですので、次のような接種方法も考えられます。日本の3種混合は生後3ヶ月からです(米国の3種混合は生後2ヶ月からです)ので、通院回数が増えることがこの方法のデメリットですが、ヒブワクチンが早く終了することができます。
生後2ヶ月に ヒブワクチン(1回目)
生後3ヶ月に 3種混合(1回目)とヒブワクチン(2回目)同時
その1週間後に BCG
その4週間後に 3種混合(2回目)とヒブワクチン(3回目)同時
その3〜4週間後に 3種混合(3回目)
その1年後に 3種混合(4回目)とヒブワクチン(4回目)同時

▲受けるべきではない人あるいは延期すべき人は?▲
*前回のヒブワクチン接種で生死にかかわる程のアレルギー反応があった人は、ヒブワクチンを受けるべきではありません。
(ヒブワクチンには鶏卵成分は含まれていませんので、鶏卵アレルギーの人も安心して接種できます。またチメロサールも含ませていません

*生後6週以下の子どもは、ヒブワクチンを受けるべきではありません。

*体調が中度あるいは重度に悪い人は、接種を延期しましょう。軽症の人は接種医にご相談ください。

▲ヒブワクチンの副作用は?▲
  日本で今回使用が認められたヒブワクチンは、フランスのサノフィ・パスツール社の「アクトヒブ」で、アメリカを含む世界各国で使用されています。
 他の薬物と同じようにワクチン接種にはアレルギー反応などを引き起こす可能性があります。しかし、アクトヒブは深刻な副作用は非常に少ないとされています。

軽度の副作用
  接種部位が、赤くなったり、熱をもったりあるいは腫れることがあります(4人に1人以下)。また38.3℃以上の発熱がみられることがあります(20人に1人以下)。
  これらの副作用は、接種後24時間以内に発生し、通常そのままで2〜3日後には改善します。[上記の頻度はアメリカのものです。いずれ、日本での頻度が発表になると思います]
中度あるいは重の副作用
 接種後2〜3時間以内の息切れ、かれ声やゼイゼイと息をする、じんま疹、蒼白になる、虚弱感、鼓動の高まりやめまいなどは、重度の副作用の可能性があります。
 接種医に連絡をするか、大至急医療機関へ連れて行くようにしてください。症状と起こった日時、接種を受けた日時を医師に伝えてください。
▲接種に際して知っておいていただきたいこと▲

 日本は、BSE(牛海綿状脳症)発生国原産のウシに由来する成分を医薬品の原料として使用しないことと決めていますが、このワクチンは現時点ではその取り決めに反した原料を使用しています。
 しかし、欧州薬局法委員会からは医薬品製造に適している原料であることの証明書が発行されているそうで、本ワクチンによってTSE(伝達性海綿状脳症)が伝播する可能性は極めて低いと考えられています。ヒブワクチン接種によってTSEが伝播する理論上の危険性と、接種により得られる利点をご理解の上で接種していただきますようお願いいたします。

このパンフレットはアメリカCDCのパフレットなどを参考にしました。
2007年11月29日初掲載
2007年11月30日増補
2008年4月25日増補
2008年6月30日増補
2008年7月27日増補
文責:竹田こどもクリニック 竹田 弘
竹田こどもクリニック
 



急な症状の対処法から、薬、健診、予防接種までわかりやすくお話しします

新版 小児科のお医者さんからママたちへ
    新版 小児科のお医者さんからママたちへ
    主婦と生活社 刊

第3刷は2008年4月の予防接種改定に沿った内容になりました。
ヒブワクチンのことにもふれています


横浜市内の気のあった小児科開業医
中野こどもクリニック:中野康伸先生、
星川小児クリニック:山本淳先生と
私 竹田こどもクリニック:竹田弘

の3人の共著です。
読んでいただき、少しでもお役に立てれば幸いです。